新商品・ネット販売・チーズアワードのお知らせ
こんにちは!ワインの美味しい季節になりましたね。
いくつかお知らせです。
①新商品のお知らせ
一つ目は蔵熟成ゴーダの粉チーズです。
ゴーダの熟成が2年くらい進むと、水分が減り、
パルメザンチーズのようになったので、試しに作ってみたらアラ不思議!
口の中でふわっと香って溶けていく~♪
スプーンですくって、パスタやサラダにどうぞ。
大瓶は95g、小瓶は45g入り。
二つ目はモッツァレラチーズ!
半年前から試行錯誤を繰り返し、かなり美味しく作れるようになりました。
賞味期限が短いので、お早めにお召し上がりください。
90g入り。(下手なので100gくらいの大きめにちぎっています(笑))
②ネット販売拡充
上記商品も併せて、新しいセット商品がご用意できました。
製造スケジュールのため、発送日が限られるものもございますが、
詳しい内容は下記販売ページをご参照くださいませ。
丹波チーズ工房セット 5,000円(送料無料・税込み)
全種類を味わえる、大変お買い得なセットです。
蔵熟成ゴーダチーズセット 5,000円(送料無料・税込み)
ゴーダチーズをじっくり味わいたい方向け。
丹波フレッシュチーズセット 5,000円(送料無料・税込み)
土日出荷限定で、出来立てのモッツァレラをたっぷり味わえます。
③ジャパンチーズアワードに出品
2年に一度行われる、日本全国のチーズが集まるコンテストに、
当工房の蔵熟成ゴーダを出品しています。
結果発表は何と本日10/17!お知らせするのが遅すぎました( ゚Д゚)
今年はYouTube配信で結果発表などが行われるようです。
私もチーズを箱詰めして送っただけなので、
正直あんまりコンテストに出ている実感がありません(笑)が、
今夜、どんな審査結果が出るのか楽しみです。
新作!丹波産フロマージュブラン
ついに丹波チーズ工房の3種類目となるチーズ、
「フロマージュ・ブラン」が完成いたしました👏
幸か不幸か、コロナ禍によって試作が進みました(^^)/
どんなチーズなのかをご紹介します。
フロマージュ・ブランとは
北フランスが原産のフレッシュタイプのチーズです。
名前はフランス語で「白いチーズ」を意味し、フランスでは赤ちゃんの離乳食にも利用されることがあるそうです。
乳白色の滑らかな食感で、酸味は穏やかで、生クリームよりあっさりしています。
「コクのあるヨーグルト」といえばイメージしやすいでしょうか?
作り方は簡単で、
牛乳に、乳酸菌と微量のレンネット(牛乳を固める酵素)入れて発酵させて、豆腐のように固める。それを布袋にいれてホエー(液体)を抜く。
これだけです(笑)
製造工程も超シンプルなので、牛乳の品質をよりダイレクトに感じられるチーズかもしれませんね(^^)/
フロマージュブランの美味しい食べ方
先日インスタでも載せていたのですが、ウチでは朝食のトーストにのっけています。
ジャムとの相性がとにかく抜群なので、
貰い物のオレンジジャムとかブルーベリージャムとかと一緒に食べると最高にリッチな朝になります(笑)
お菓子作りが趣味の嫁さんは、
フロマージュブランで「ムース」を作ってくれました。
レシピ載せときます。https://cookpad.com/recipe/1215514
カッコいい写真は撮れなかったのですが、マジでうまいですよ( ゚Д゚)ミセヒラケル~
そのほかにも、フレンチコースのデザートに出てくるという「クレームダンジュ」というスイーツの素材にもなるようです。
フロマージュブランと生クリームと、卵と砂糖くらいでできるらしいです。
一応レシピ見つけたので張っときます https://cookpad.com/recipe/2951284
取引先のシェフさんが、ウチのフロマージュブランを使って作ってみる!とのことで、また伺うのが楽しみになりますね~( *´艸`)
丹波産フロマージュブランの特徴
さて、丹波チーズ工房のフロマージュブラン、
何といっても原料のミルクがジャージー牛乳100%なんです。
牛乳に生クリームも何も加えず、そのまま作っているだけなのに、
完成したフロマージュブランのコクや風味にはビックリしました。
ありがとう!牛さんたち✋
また、フロマージュブランの硬さと滑らかさも研究しまして、
ボソボソしないけど、クリーム状になりすぎないよう、適度に調節しています。
ただ「とろける~」ってだけでなく、食べた時の満足感もあるように。
それがうまくいってるかはまだ自信はないですが(笑)、また感想いただけると嬉しいです。
フロマージュブランの購入方法
肝心の購入方法です!
大変申し訳ないですが、まだネットショップは準備中ですので、通販ご利用の方はいましばらくお待ちください✋
お試しの100gサイズ
定番の200gサイズ(↓写真)にはスイーツレシピ付きです(^^)/
お菓子作り用(業務用)の500gサイズもご用意しています。
道の駅にも出荷予定ですが、まずは農場での直売からスタートとなりますので、
興味のある方は農場HPからメール、もしくは当ブログのお問い合わせよりご連絡いただけると助かります。
婦木農場HP https://fukifarm.com/
Blog問い合わせ https://www.tamba-cheese.com/contact
製造量に限りがありまして、数量限定での販売となってしまいますので、ご容赦くださいませ。
6/12追記
フロマージュブラン200gを道の駅で販売スタートしました!価格は760円です!
宜しくお願いします!https://michi-kasuga.jp
おわりに
フロマージュブランなどのフレッシュチーズは、
正直これまでほとんど勉強してこなかったので、あまり興味がなかったのですが、作ってみると新しい発見や学びもあって、案外面白いものですね。
製造工程がシンプルなだけに、失敗したらダイレクトに品質に影響してしまうので、気を緩めることなく、今後もおいしいチーズ作りに励みたいと思います。
サンマルセランやゴーダチーズはコチラで買えます
よろしくお願いします✋
商標登録したロゴマークに込めた思い
先日、丹波チーズ工房のロゴマークが、
正式に商標登録されました!!(^^)/
商標登録とは、「商品の名前」を勝手に使われることのないよう、特許庁に権利を登録することです。
今後、私以外の人が勝手に使うと、その権利を持つ私が損害賠償を請求したりできます。気をつけてくださいね(笑)
今回はこのロゴマークについて書いてみようと思います。
ロゴを作るきっかけ
ロゴを作るきっかけは、私のチーズの師匠、さらべつチーズ工房さんです。
写真をご覧ください。師匠のチーズです。
なんかよく分からんけど印象的な絵がありますよね(笑)
この絵は私も師匠の家に行って始めて分かったんですけど、家の軒先をモチーフにしているんです。
しかもただの絵ではなく、なんとなく力強さを感じる絵です。これがチーズの力強い味わいと非常にマッチしているんです。
これいいな( *´艸`)と思いまして。
私も師匠の一弟子として、チーズと共に、このロゴの印象的な感じを受け継ぎたいと考えたのです。
渡辺トモコさんの版画絵
そして、地元丹波市で活躍していらっしゃる版画家の渡辺トモコさんに依頼しました。
最近ではアマビエの版画絵も描いていらっしゃいます。
https://watanabetomoko.com/ ←渡辺トモコさんのホームページ
家の周りや牛舎をうろうろしてもらって、コレいいなっ( ゚Д゚)と思ったものを、
トモコさんにお任せして書いていただきました。
それがチーズを熟成している、この蔵だったんです。
最初のラフ画では蔵全体を描いていらっしゃったので、
「もっと蔵の頭だけにフォーカスしてみてください」
とひとつだけ注文して、完成しました。
トモコさんの力強くも優しさのある版画と色付けにより、
婦木農場の伝統や格式みたいなものが加わった気がします。
本当にありがとうございました!
お母さんの筆文字
実はこのロゴの右隣の「丹波チーズ工房」の筆文字は、私のお母さんの字なんです。
この数年、近所の習字教室に通っているお母さんに、
「丹波チーズ工房」を100回くらい書いてもらって、その中からいいやつを選ばせてもらいました。
「丹」という文字がペンギン🐧ちゃんみたいにも見えますよね~(笑)
この絵と文字をセットで登録させていただきました。
こちらで確認できますよ✋
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/t0201
ロゴに負けないチーズをつくる!
さて、こうしてできたロゴマークですが、
肝心のチーズはまだまだ道半ばでもあります。
毎日のように心配事や悩みが頭をもたげるのですが、
このロゴを見ると、丹波の農家としての伝統や、師匠から受け継いだおいしいチーズ作りを思い直し、「今日も頑張らんと!ロゴに負けないぞ!」と思えるのです。
正直、このコロナショックにより、イベントや商談がキャンセルされ、チーズの販売は予定通り進まず、少なくない在庫を抱えているのが現状です。
これから夏にかけて、試食販売などもなかなか難しい状況かもしれません。
しかし、ジャージー牛たちから、せっかく分けてもらったミルクを、最後まで責任もって食べてやりたいと考えています。
おいしいチーズを大切な人と食べることで、心が躍り、
日ごろの疲れをリフレッシュして、また明日からも前を向いて頑張れるはずです!
もし応援いただけるのであれば、通販サイトより、ご注文よろしくお願いします✋
チーズ職人が選ぶ、市販ヨーグルトBest3
こんばんは、丹波チーズ工房のけいすけです。
今回は肩の力を抜いて(笑)
乳酸菌を毎日培養しているチーズ職人が選ぶ、
スーパーでも買える「おいしい市販ヨーグルト」を紹介したいと思います。
嫁さんが最近買ってきたものの中から選んでいますし、
ただの私の好みですので、お時間あれば見ていってくださいませ(^^)/
第3位「ダノンビオ」
https://www.danone.co.jp/bio/lineup/
世界的企業ダノンさんのヨーグルトは、口当たりが滑らかで、
パンにつけてもおいしく食べれるので、朝食にピッタリなんですよ~(^^♪
4つあるので、嫁さんと仲良く分け合えるのも◎
比較的少ない量(75g)ですが、私には十分です。
ラインナップには、ブルーベリー味とかいろいろフレーバーもあるのですが、
私は普通の加糖プレーンを好んで食べていますよ。
第2位「蒜山ジャージーヨーグルト」
ジャージー牛で有名な岡山県蒜山(ひるぜん)高原の酪農組合さんが作っているヨーグルトです。
私が、というより、嫁さんがとっても気に入っているようで、スーパーでよく買ってきてくれます。
ヨーグルトの上にジャージー牛乳らしいクリーム層が浮かんでいるので、
濃厚さもありつつ、後味はさっぱりもしていて、どこか懐かしさもあるヨーグルトって感じです。
蒜山高原は数年前に見学に行ったのですが、さすが有名ジャージー牧場だけあって、体格も大きく、お乳がたくさん出そうな立派な牛ばかりで関心したものです。
第1位「パルテノ」
今、私の中での1番はギリシャヨーグルトのパルテノです。
先日嫁さんが初めて買ってきてくれて、
思わず「うまっ」と声を出してしまいました( ゚Д゚)ウマ~
とにかく濃くてクリーミーです。
加糖もあるようですが、さっぱりするのでこちらは無糖のほうが美味しい気がします!
ホームページを見に行ったら、「水切り製法」と紹介されていて、
フレッシュチーズのフロマージュブランと味が似ているのも納得できました。
このチーズは日持ちがしないため、国内ではなかなか出回っていませんが、
フランスではとってもポピュラーなチーズで、赤ちゃんの離乳食にも使われます。
ざっくり言えば水切りヨーグルトみたいなものです。
実はそろそろ丹波チーズ工房でもフロマージュブランの販売を準備していまして、
試作したフロマージュブランを朝ごはんに食べたりもしています。
ジャムとの相性が抜群に良いので、我ながらびっくりしています(笑)
チーズケーキや、クレームダンジュというスイーツにも使えます(^^)/
また発売したら、詳しくお伝えできればと思います。
乳酸菌で健康に暮らそう
さて、今回は市販ヨーグルトを3つ、ご紹介しました。
私自身も、毎日チーズ用乳酸菌を培養しているので、
「ウチの乳酸菌ヨーグルトが一番やで!」と言いたいところなんですが、今回は明日にでも皆さんがスーパーで買えるものの中から考えてみました。
乳酸菌は、腸内環境を整えるという身体に嬉しい微生物です。
みんなでおいしく健康に暮らしていきたいですね✋
乳酸菌についてはこちらの記事を読んでいただければ嬉しいです。
ヨーグルトはもちろんですが、チーズにも乳酸菌が生きています( *´艸`)
もしよければ販売ページものぞいてみてくださいね~✋
乳牛の一生(ライフサイクル)
今回は乳牛(メス牛)の一生について書いてみようと思います。
日本における乳牛の平均寿命は5~7歳くらいです。
もちろん生物学的には10年以上生きるのですが、
人間の家畜としての「経済寿命」はこのくらいになります。
そして一生に生産する牛乳の量は、3万~4万㎏もあるのです。
1頭で1Lの牛乳パック3~4万本です!
毎日1本飲むとすると82年以上かかる( ゚Д゚)!!
人間が一生かかっても1頭分飲めるかどうかって感じ!!すごすぎ!!
ただ、これはホルスタイン種の場合。
ジャージー種は乳量が半分くらい位になるので、全部の値が半分になると思ってくださいね。
さて、本題の乳牛の一生です。
牛は哺乳動物ですから、人間のお母さんと同じで、子供を産んで初めてお乳が出るようになります。
この子牛のために出すミルクを、人間が分けてもらっているということですね。
生まれた子牛が大きくなる過程を図にして、下に解説します。
https://www.j-milk.jp/knowledge/food-safety/uwasa7.html より引用
- メス牛が生まれると、すぐに母牛のミルクを搾り、子牛に飲ませます。これを「初乳」といい、免疫抗体がたっぷり入っています。出産時の体重はホルスタイン種が約40㎏、ジャージー種は約25㎏です。
- 初乳や粉ミルクを与えつつ、2~3ヶ月で牧草やトウモロコシなどのエサに切り替えていきます。これを離乳といいます。
- 14ヶ月齢くらいで種付け(人工授精)を行います。もちろん牛にも生理があり、21日周期です。牛飼いはこのタイミングを見逃さないよう、注意を払います。この時点でホルスタイン種の体重は300㎏以上、ジャージー種は200㎏以上になります。
- 妊娠期間は280日で、人間とかなり似ています。生まれてから2年以上かかって、ついに出産し、お乳が出るようになります。体重はホルスタイン種が500㎏以上、ジャージー種が350㎏以上となります。
- 出産後、約2ヶ月で子宮の状態が元に戻り、再び種付けを行います。もちろん妊娠しながらも、お乳は出し続けます。
- 次の出産の2~3ヶ月前から乳搾りをお休みします。これを「乾乳」といいます。出産に向けての体力作りに、全力を注いでもらうためです。
- そして出産を迎え、またお乳を搾り始め、5に戻ります。このサイクルが約1年でぐるぐる回るのが理想と言われています。つまり、乳牛は1年中ずっとお乳を出しているわけではなく、実は1年のうちの10ヶ月なんですね。
- サイクルを3~4周まわったころには、病気になったり、ケガをしたり、乳量が落ちてくるなどの経済的理由から、お肉用に出荷されます。ホルスタイン種の体重は大きいもので800㎏にもなるので、足の故障も多いのです(;´・ω・)
その点、450㎏程度の小柄なジャージー種は、事故は少なく、長生きしやすいといえますね。
いかがだったでしょうか?
乳牛の一生をすこしイメージできましたでしょうか?
子牛ために出したはずのお乳を人間が利用し、死ぬときも人間が食べれるお肉になってくれる。
全て人間のエゴイズムですが、なんとありがたいことでしょうか。
せめて飼っている間は「いい気持ち」をさせてやりたいものです。
これもエゴかな(笑)
一滴でもミルクを無駄にしないよう、これからも牛を大切に飼い、チーズ作りに励んでいきます✋
ミルクの一滴は血の一滴!これについてはまた次回、詳しくお話しようかな。
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「種苗法改正」について農家のせがれが思ったこと
5月の初め、
タレントの柴咲コウさんが反対を表明したことで注目をされている種苗法改正案。
「農家の種子への権利がなくなる!」とか
「多国籍種苗会社に日本の農業が潰される!」と
恐れている方をいくつも見かけました。
婦木農場で自家増殖している里芋くん↓
私も一農家として、少し前から気になってはいましたが、今回の注目を機によくよくこちらの改正案を調べてみました(๑و•̀ω•́)و
種苗法の一部を改正する法律改正案概要(農水省HP)
https://www.maff.go.jp/j/law/bill/201/attach/pdf/index-38.pdf
関連情報と質問まとめ(農水省HP)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/shubyoho.html
これを踏まえたうえで、以下の記事や動画でさらに勉強しました。
たくさんありますが、気になるやつあればいくつか見てみてください。
この農協の記事が一番コンパクトにまとまっている感じです。
種苗法改正 生産現場への周知必要(農協)
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2020/04/200415-41246.php
これ分かりやすい品種例です
ネットでも話題になっている育種ブドウ農家さんの声(林ぶどう研究所)
https://note.com/grapelabp/n/n53a70ed87db1
40分と長いですが、自家増殖の方法についての丁寧な説明がわかりやすい
自然農実践者の方の遺伝的な警戒点に関心
種苗法改正『自家採種禁止?』について思うこと【タネの話】2020年5月4日
また、これまでの種苗法についても改めて調べてみました。
これまでの種苗法(農研機構)
http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/ncss/hogotaisaku/files/tourokukenri.pdf
「育成者権の効力は,種苗の生産行為に及ぶことから,自家増殖についても育成者権者の許諾を要することになるところ,農業者の自家増殖が従来からの慣行として広く行われてきたことに配慮し,原則として育成者権者の許諾なく,自家増殖を行うことができるとするものである。」(19ページ)
→自家増殖していいよーってちゃんと書いてありますね。
国内育成品種の海外への流出状況(農水省)
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/tizai/brand/kentoukai/attach/pdf/3siryou-6.pdf
→中国であったドラえもんのパクリwとは比較にならない流出ですね…。
品種登録の5条件と申請方法など(品種登録HP)
http://www.hinshu2.maff.go.jp/act/faq/faq02.html
ここまで調べてみたところ
種苗法というのは、そもそも種を作る育種者を守る法律であることがよくわかります。
また、自家増殖が自由であるがために、海外流出も起こり、育種者は困っている。
今回の改正案で、登録品種の育種者権利はしっかり守れるようになるってことですね。
野菜農家の多くは、すでにF1品種を使っているので、登録品種が増えてもそんなに大きく影響は受けなさそうですね( •̀∀︎•́ )✧︎
私は育種家を心から尊敬しています。毎年毎年、より美味しい、より病気に強いなどさまざまな要素をもつ品種を作ってくれているからです。ちょっと値段が上がっても、きちんと農作物を作って販売するために、農家は種苗代として投資をしているのです。
このように、農家としては、育種者の苦労もよくよくわかりますし、大企業に忖度するわけでもなんでもなく、グローバル化の流れとして、今回の改正は正しい方向なのかなと思います。
ただ、調べている間にもう一つ、農協の記事の最後にも書いてありましたが、2年前に廃止された「種子法」という法律にぶち当たりました。
種子法廃止についての記事(スマートアグリ)
https://smartagri-jp.com/agriculture/156
→戦後の食糧危機の時代に、国民を飢えさせてはならん!とコメ、麦、 大豆の種子を国のお金でしっかり供給すると決めてやってきたものを、今後民間に移していくというのです。
廃止とともに、15の道県で条例が制定され、兵庫県なんかは、県の試験場が責任をもって種子供給と研究開発をやってくれています。長野県では、特産の伝統野菜まで県がやっているようで、頼もしい限りです。
でもこれはどうなんでしょう。
今は県が頑張ってくれていますが、今後移っていくとして、民間企業は売れるものを作りたいでしょうから、コストダウンのためにも品種はなるべく絞って大量生産しますよね。
南北に長い日本の各地で、毎年のように異常気象が起こり、流行りの病気や害虫が変わっていく中、重要作物であるコメや麦の画一化された作物を作っていくだけでは食糧危機リスクが高いとも考えられないでしょうか?
大手種苗メーカーさんがコメとか作ると、そのノウハウでもっといいものができる可能性ももちろんあります。実際にこの数十年で多くの野菜が新たに開発され、食卓を彩っています。穀物の種も市場競争させればもっとよくなるのかもしれません。農家としては、種がちゃんと確保できるなら変わっていってもいいのではとも思います。
と、そんななか、やっぱり種は公の財産として国が守るべき、という法律を議員立法しようと立ち上がった方もいらっしゃるようです。
川田議員の「在来種保全法案」について(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202005/CK2020051402100027.html
前半は質問コーナー。1時間25分頃から、川田議員の私案提案です。
【ノーカット版】「種苗法改正法」についてQ&Aセッション(一般参加)&「在来種保全・活用法案」の記者会見 出演:川田龍平(参議院議員)印鑰智哉、MC:堤未果 2020年5月13日
いろいろ詰め込み過ぎて、私も頭がパンクしそうなんですが、皆さんも可能な範囲で調べて、勉強してみてください。
大前提としてはっきりしているのは、今の日本の農業政策は、大規模化や効率化による国際競争力の強化を念頭に置いたものばかりになってきています。
農水省でも「強い農業」と掲げられています
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h28/h28_h/trend/part1/chap0/c0_1_00.html
農業はIT分野と違って、1年で性能が倍になるなんてことはあり得ないので、
競争だけでやっていくのは、限界が見えているのではないかと私は思います。
本気で競争し始めたら、お金にならない田んぼの草刈りなんて、あほらしくて誰もやらなくなりますよ?
それでほんとにいいのか?ってことも、ちゃんと見て考えてほしいです。
今回のコロナショックで、過度なグローバル化による食糧安全保障みたいな話もちょっと聞くようになってきたように思います。
どうなっていくのか、引き続き注視していくしかなさそうです。
最後になりますが、
日本のお米や野菜、在来種などの特産品を守り、
未来に豊かな食文化を伝えるためには、
私たち農家がお客さんに喜んで買ってもらえる作物を育てて、
もっともっとお客さんに発信し続けることが大切になってくるでしょう。
みなさんもぜひ関心を持って、毎日の食生活から日本の農業を応援していただけると嬉しいです。
これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。
追記5/16
国産競争力を高めるっていうのは、捉え方によっては「消費者視点」ってことなのかもしれません。お客さんが欲しいと思えば、野菜も変わるし、米も変わっていく。草刈りをしていることに価値を感じていただければ、農村風景も守られていく。それもまた自然なことなのかもしれませんね。
そんな競争の中でも、お客さんに選んでもらえるものを作り続けることが農家の仕事ですから、婦木農場にしかできないことを、これからも取り組んでいかないといけませんね。
早速宣伝なんですが(笑)
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プロのためのチーズの本、おすすめ5冊!
現役チーズ職人の婦木です。
今回は私がこれまで出会ってきたチーズに関する本の中で、
とっても役に立った、5冊の書籍を紹介したいと思います。
かなりマニア向けというか、職人向けかもしれませんが、
こんな世界もあるのだと感じていただければ嬉しいです(^^♪
「チーズの絵本」
農家にはおなじみの農文協が出版している子供向けの絵本シリーズです。
これは私が師匠からいただいた大切なバイブルなんです。
さらべつチーズ工房に研修に来てすぐのこと、
チーズの製造を見学しながら師匠にいろいろ質問していたのですが、
そのあまりにも初歩的な質問の数々に、師匠に叱られてしまったのです。
今思えば当たり前なんですが、チーズのことを自分で調べもせず、全部教えてもらえると甘い考えを持っていたからです。
そしてその夜、うつむき加減で夜ご飯を食べる私に、師匠はこの絵本を渡してくれました。寝る間を削ってむさぼり読んだのは言うまでもありません。
この絵本は見かけによらず、めちゃくちゃすごいです。チーズ作りの肝である化学変化を、イラストで大変わかりやすく書いてあります。
それもそのはず、著者の河口さんは、海外でのチーズ製造研修や、乳業メーカーでの経験もある超プロフェッショナルなのです。
こちらの絵本シリーズは農林漁業、食品加工関係のいろんな絵本が出ていますが、どれも大変すばらしい絵本ばかりなので、ぜひお子さんと一緒に読んでみてくださいね!
「チーズ図鑑」
ハードカバーの初版は1993年に出ているチーズの百科事典のような本です。
ヨーロッパ各国をまわり、435種類という膨大なチーズの種類を紹介されていますが、2001年改訂のこちらの新書タイプは321種類だそうです( ゚Д゚)!
ハードカバーの本は、なぜか父が持っていました(笑)
フランスでは「一村一チーズ」ともいわれるように、ヨーロッパ地域ごとに様々な表情や特徴を持つチーズがあることがたくさんの写真や文章でわかります。
日本の発酵食品である味噌や漬物のようなバラエティーです。
ぼーっと見ているだけでも面白いですし、一職人としてみると、「チーズつくりの常識に取らわれずに、オリジナルチーズ作っちゃえよ!」と背中を押されているようで、勇気ももらえる本です。
1000円程度とお安いので、ぜひご一読ください!
「チーズ・その伝統と背景」
これは師匠に教えてもらって、自分で買った初めてのチーズ本です。
ヨーロッパの比較的小さなチーズ工房の製造現場を見て、チーズの作り方だけでなく、その根底にある考え方まで丁寧につづっているとても貴重な読み物です。
著者の泉さんは、大手メーカーのチーズ担当だったようで、製造現場を見る視点がまさにプロフェッショナルです。
いつくかのチーズでは、製法の歴史的変遷やその地域の特色も詳しく書かれていて、一緒にヨーロッパを旅しているような充足感もあるのです。
チーズ職人の方で、ヨーロッパにもまだ行ってない方は、現地の空気を知るためにも、読んでみることをお勧めします。
かなり職人向けの内容ですので、正直勉強しないとついていけないと思います。章ごとにある注釈がめちゃくちゃ長くて、意外と大事なことばかり書いてあるので、私も勉強しながら読みました。今でもよく読み返しますね(^^)/
正規の値段ではなかなか手に入りづらい本ですので、見つけたら読んでみるのも一興かと。
「チーズの科学」
このブログのネタに何度も引用させてもらっているのがこちら。
チーズやヨーグルトなどの乳酸菌を研究されている東北大学の斎藤教授が、私たち庶民にもわかりやすくチーズについて書いてくれている一冊。
チーズの種類や作り方、栄養、機能性、最近の研究で分かってきた健康効果まで、これを読んでチーズを食べると、おいしさがアップするかもしれません( *´艸`)
科学シリーズの講談社ブルーバックスはどれも面白い科学の本がそろっていますよね。私も「進化しすぎた脳」とか読んだ記憶があります。
「現代チーズ学」
先ほどの斎藤教授を筆頭に、日本のチーズのプロフェッショナルが集った夢のような本です。総ページ数485ページ( ゚Д゚)!!!
これはもう完全にチーズ職人しか買わないであろう本ですね(笑)
私も興味のある所だけしか読めていません、眠くなるので…(-ω-)/
特に面白いのが、乳酸菌スターターの章。
これまでどんな本を読んでもなかなか載っていなかったので、師匠の言葉を信じて乳酸菌培養をやっていたのですが、こちらの本に培養のことかなり詳しく書いてあったので、とても興味深く読ませてもらいました。
培養ってなんだ?と思ってくださった方は過去記事も読んでくださいね✋
おわりに
今回はプロ向けのチーズ本を選びました。偏った選書はお許しを(笑)
このように、先人たちの研究を勉強したうえで、
実際の製造現場ではどうしたらもっとおいしくなるのか、
どうしたらもっと喜んでもらえる商品となるのか、
これからも考え、もっとお客さんに提案していける職人になりたいものです。
丹波チーズ工房では、ネット通販もやっております。
応援してくださると、私も牛も喜びますので、よろしくお願いします✋
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チーズに穴ができる理由
そういえば今年(2020)の干支はネズミですね🐭
ネズミといえばチーズ。それもボコボコに穴の開いたチーズを連想しますよね。
この穴あきチーズ、名前を「エメンタールチーズ」といいます。
そしてこのチーズの穴にも名前がついていまして、「チーズアイ(眼)」と呼ばれています。
今回はこのチーズアイができる理由を、チーズ職人の目線から紹介したいと思います。
エメンタールとは
スイスのベルン近郊の山間地、エメンタール地方が発祥です。
スイスの中でも美しい自然があると言われている土地らしく、地図を見ると確かにめちゃくちゃ田舎っぽい(^^♪
チーズの歴史は5000年ほどあると言われていますが、
エメンタールは意外と歴史が浅く、15世紀ごろから作られています。
大きさが100キロにもなる巨大なチーズで、
エメンタール1個を作るのに牛乳約1000Lが必要になるのです( ゚Д゚)!!
スイスの人はめんどくさがり屋なんでしょうか?(笑)
エメンタールはクセのないマイルドな味わいなので、おつまみに食べるというより、
チーズフォンデュにしたり、グラタンやキッシュなどの加熱料理として食べるのがお勧めです。
穴を作るプロピオン酸菌
さて、いよいよチーズアイができる理由なんですが、
これはプロピオン酸菌という微生物の働きによるものです。
プロピオン酸菌とは、主にエメンタールチーズだけに使用される微生物で、
チーズの中の乳酸を分解してプロピオン酸、酢酸、二酸化炭素、水を作り出します。
乳酸は乳酸菌によって作られているので、共生関係にあるといってもいいでしょう。
このうちプロピオン酸と酢酸はエメンタールチーズ特有のナッツのような香りを作り出しているといわれています。
そして二酸化炭素。これこそがチーズアイの正体です。
チーズが熟成している間に、炭酸ガスが発生し、それが固まっているのです。
たくさんの穴があき、通常2〜3センチくらいの穴になります。
次の項目で特徴的な作り方を紹介します。
エメンタールの2段階熟成
たいていのチーズは同じ環境で熟成させます。
例えばゴーダチーズは、温度12℃、湿度85%程度の場所で、出荷するまでずーっと同じように熟成します。
青かびチーズでは、温度10℃、湿度90%以上で3ヶ月熟成します。
しかし、エメンタールチーズの製造法の特異点は、熟成を2段階に大きく分ける点にあります。
1次熟成は20℃~25℃、湿度80~85%で3~8週間です。
この間、乳酸菌を分解したプロピオン酸菌が大活躍し、チーズアイが作られ、チーズの表面がポコッと膨らんでくるのです。
ある程度のふくらみを確認したところで、2次熟成に移ります。
7℃、湿度80~85%で3か月以上です。
この間は、温度を下げることでプロピオン酸菌の働きを抑え、
風味の醸成や乳酸菌によるタンパク質分解(うま味の生成)を進める効果があります。
1次熟成のふくらみを見逃してしまうと、
炭酸ガスの出過ぎで、チーズがパックリ割れてしますこともあるそうです。
また、見た目だけの問題ですが、綺麗に整った穴を作るのはかなり難しいようです。
この熟成に関しては、私も聞きかじりや文献の受け売りなので、
一度ちゃんとエメンタールチーズを作ってみたいですね( *´艸`)
チーズアイはゴーダにも!?
我が家のゴーダチーズには、チーズアイがあります。
プロピオン酸菌は添加していませんが、
実は乳酸菌にも多少の炭酸ガスを作りだす働きがあるのです。
もしかすると自然に入ったプロピオン酸菌の可能性も考えられるんですが、おそらく乳酸菌の働きが大きいのではと私は思っています。
エメンタールのような大きい穴にはならず、5ミリ程度の丸い穴があります。
ゴーダチーズは、穴を作ろうとしてやっているわけではないので、
穴があったら、「アイだ!ラッキー!」くらいに感じていただければ(笑)
おわりに…青かびゴーダチーズ?
チーズには今日紹介したプロピオン酸菌や、乳酸菌、酵母、カビなど、いろんな微生物が働いています。
最近お客さんから、「ゴーダチーズから青かびの匂いがしたのはなんで?」
と質問がありました。
以前の記事にも少し書いていたのですが、ゴーダをより自然な方法で熟成しているため、表面の皮部分には青かびや酵母など様々な微生物が住んでいるのです。
熟成庫の空気をまとった特徴的な皮ですので、あえて少し残した形で包装もしていますが、食べても全く問題はありません✋
見るからに青かびがモコモコ生えてきた場合や、クセのある香りが気になる際は取り除いていただいたほうがいいですね。
チーズがすぐにカビちゃう!などの失敗経験のある方は、正しい保存方法をこちらでまとめていますので、お時間あれば読んでくださいね!
今回もお読みいただきありがとうございました(^^)/
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チーズ作りの要【乳酸菌】の役割と、自家培養する理由
ナチュラルチーズの原材料は、牛乳と食塩です。
が、実はもう2つありまして、
製造過程で乳酸菌とレンネット(凝乳酵素)を使っています(微量なので、原材料表示義務はありません)。
チーズ作りとは、牛乳から10%程度の固形分(タンパク質と脂肪分)を化学変化によって取り出す作業です。
その化学変化に乳酸菌とレンネットが働いているのです。
今回はその大切な役割を担う乳酸菌と、その培養について、じっくり書いてみようと思います。
チーズの乳酸菌とは
乳酸菌と聞くと、どんなものをイメージしますか?
一番に出てくるのはヨーグルトですよね?
そうです。まさにヨーグルトこそ、乳酸菌のかたまりなんです。
乳酸菌とは、発酵によって糖から乳酸を作る微生物のことを言います。
「乳酸」をつくる「菌」ってことですね。
プレーンヨーグルトはちょっと酸味がありますが、
その酸味こそ、乳酸菌が働いた証拠であり、冒頭にもお話したチーズの化学変化のために、その「酸」が大切になります。
牛乳はほぼ中性の液体なのですが、
乳酸菌が作り出す酸によって酸性に傾くと、
牛乳中でふわふわ浮かんでいたタンパク質の構造が変化し、タンパク質同士が手をつなぎ始め、最終的に豆腐のように固まるんです(専門用語で酸凝固)。
これがヨーグルトであり、そこからさらに水分を抜く(レンネットも働きます)とチーズになります。
つまり、ヨーグルトとチーズは親戚というか、兄弟みたいなものなのです。
この表のように、乳酸菌にもいろんな種類があって、
ヨーグルト用、モッツァレラ用、ゴーダチーズ用、など作るチーズの種類や製法によって、1種類~数種類の乳酸菌をブレンドして使います。
市販の乳酸菌スターター
牛乳を乳酸発酵させる菌のことを「乳酸菌スターター」と呼びます。
例外として、白カビチーズなどには「カビスターター」も使われます。
ヨーグルトメーカーなんかを使ったことある方は、ヨーグルトスターターをイメージしていただくといいです。ほぼ同じものです。
チーズ製造の一般的なものは、フランスのクリスチャンハンセン社の冷凍スターターがあります。
小さい文字で見えないかもですが、「サーモフィルス」という乳酸菌が入っています。モッツァレラチーズなどは、こちらの1種類だけ入ったスターターを使います。
普通の店には売っていないので、国内取次をされている業者さんを通じて購入しています。
1袋で500Lのミルクを発酵させる力がありますが、5000円もするので、まぁまぁバカにならないお値段です。
この乳酸菌スターターを、殺菌して30℃くらいに冷やしたミルクにポイ✋っと入れるだけで、乳酸発酵が進むという大変便利なものです。
師匠から受け継いだ自家培養
さて、丹波チーズ工房では、このスターターを私が自ら作っています。
やり方はヨーグルトメーカーで自家製ヨーグルトを作るのと同じで、ずっと種継ぎしていくだけです。
理科の実験のような三角フラスコを使っています。
36という数字は36代目という意味です。aとbの2系統培養することで、失敗したときの保険にしています。写真では3系統目の乳酸菌も作っています。
最初の種菌は、市販スターターを使い、それ以降は乳酸菌の活性状態を見ながら培養濃度を調整し、50代目まで培養を続けます。
インキュベーターという、温度を一定に保てる専用保温庫を利用しています。
このやり方は全て師匠に教えてもらいました。
先ほど紹介した市販スターターは、必要な時に必要な量だけ、冷凍庫から出してポイッとするだけですが、培養はほぼ毎日の仕事になるので、めちゃくちゃ手間なんです。
でもこれが師匠の教えなんです。師匠もずっとやってきたのです。
師匠の教えを忠実に守って、チーズ工房設立以来4年間ずっと、チーズ作りよりも頑張っています(笑)
なぜ自家培養するのか
さて、そんな手間のかかる自家培養ですが、私も盲信的にやっているわけではありません。
一言でいってしまうと、「安定した品質が保てるから」ということです。
野菜栽培にたとえてみましょう。
野菜作りの世界には「苗半作」という言葉があります。
これは苗の良し悪しが、その後の生育に大きく影響してくるという意味で、苗づくりの大切さを説いた言葉です。
苗の根がヒョロヒョロだったり、葉っぱに病気が出ていたりすると、畑に植え付けをしても、水分が吸収できず枯れてしまったり、周りに病気をまき散らすことになったりと、とても困ります。ですから昔から農家は自分の手で、自分の栽培法に合った元気な苗を毎年作ってきたのです。
チーズも考え方は同じです。
市販スターターが悪いわけでは全くないのですが、自家培養し、私の製造法に合った元気のある乳酸菌に仕上げていくことで、毎回安定した発酵をしてくれていますし、
ゴーダチーズなどの長期熟成チーズでも、12ヶ月以上の長期間、しっかり働いてくれるようになると考えています。
100年前はヨーロッパのすべての工房で自前の乳酸菌を用意していたようですが、
技術進歩により、今はより手軽な市販スターターを使うようになってきています。
でも私は、せっかく師匠から受け継いだ伝統的な培養法ですから、無駄だと笑われながらも、これからも培養を続けていきたいと考えています。
おいしいを目指して
丹波チーズ工房がこれまで秘密にしてきた乳酸菌について書いてみました。
苗づくりというより、自家採取という例えのほうが良かったのかなーという感じもしますが、まぁなんとなく伝わっていれば嬉しいです(^^)/
8年前、初めて師匠のチーズを食べた時の感動は今でも忘れられません。
そんな師匠に追いつくためにも、牛乳はもちろん、乳酸菌作りもして、もっとおいしいチーズに挑戦し続けます!
そんな乳酸菌を使ったチーズは農場でも直売しています。
ご自宅にお届けするネット通販もありますので、ぜひ応援お願いします✋
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平飼い養鶏はビニールハウスでできる!
私の働く丹波婦木農場では、平飼い鶏を240羽ほど飼っています。
お肉用の鶏ではなく、卵を産む鶏です。
平飼いとは、鶏が自由に走り回れる小屋の中で飼う方法で、
一般的にはかごの中に入って管理されるケージ飼いが主流ですので、より自然に近い形ともいえるでしょう。
平飼い養鶏は、基本的に「小屋」を建てるのですが、
当農場では6年ほどビニールハウスを利用した養鶏をやっていますので、
どんな工夫をしているのかを書いてみようと思います。参考になれば幸いです。
鶏小屋をつくる
小屋は、かつて野菜を作っていたビニールハウスを半分に区切り、ひとつは鶏小屋として、もうひとつは卵の選別や箱詰めやエサの保管などをする場所にしました。
透明ビニールでは直射日光がキツイと思ったので、
頭には遮光率の高い白ビニールを張りました。
ちょっと写真ではわかりづらいかもですが、両サイドはくるくるして開けれるようになっていて、風通しもいいです。
足元15㎝から100㎝までを、90㎝幅の金網(小さい目のやつ)でぐるりと囲んでいて、ハウスのビニールを固定する針金で、ビニールと一緒に留めています。
足元には畦シートの波板(幅大きいやつ)で、ぐるりと囲んでいます。
これは獣害対策でもあります。
実は先日、この6年ではじめて獣害被害に遭いそうになりました。
キツネか何かが小屋に入ろうとしていたようですが、畦シートが硬く、隙間も小さく、あきらめて帰ってくれたようです。間一髪でした(笑)
畦シートは、土を掘っても入れないように、ちょっと土に埋めて固定していたのが正解だったようです。
さすがに6年目となると、金網も少し弱くなってきている部分もあり、近々金網の大規模補強もやる予定です。
エサ、水飲み場をつくる
エサ箱は市販のものを使っています。
最初は木の板を張り合わせた箱を置いていたのですが、エサがこぼれたり、フンをされたりと、エサの無駄が多くなってしまいました。
市販のものは、エサがこぼれにくいように角度がつけられていて、さすがによく考えられてるなーと感心したものです。
飲み水も、最初はバケツに汲んであげていたのですが、あまりに大変なので、ニップルドリンカーという平飼い用の給水装置を取り付けました。
水漏れ修理やら、いろいろ工夫していたら、まるで水道屋さんになったように作業できるようになりました(^^♪
こちらのふたつの商品、購入当時はダイカポリマー株式会社さんだったんですけど、久しぶりに調べたら名前変わってました。
たぶん直接問い合わせたら製品は取り扱いされてると思います。
集卵箱をつくる
平飼い養鶏では一番大切といってもいい、集卵箱は自分で手作りしました。
市販でかなり良さそうなのもたくさんあったんですが、何しろ金がかかる…
こちらは第一弾のやつ。
特に設計図もなく、家にあった木材をかき集めて、思いつきで作ってるだけなので、かなり適当です( ゚Д゚)/
赤鶏は暗いところで卵を産む習性があるので、光がなるべく入らないように屋根を付けたり、分散して生むよう仕切りを付けたりしています。
こちらは第二弾。進化しまくりです(笑)
取っ手を持ち上げると、卵を産む場所があります。
かなり暗さがあるので、産んだ後に卵を蹴って割れてしまい、鶏が自分で卵を食べてしまう、なんてことが起こりにくいです。
卵を産む場所は反対側にも同じようについています。
我ながらよくできたなと自負しております( *´艸`)
この箱にもみ殻を敷き詰めて、卵が割れないように集めています。
我が家の暑熱対策
ビニールハウスの最大の欠点は夏の暑さです。
何もしないと、暑すぎて鶏がまともな卵を産んでくれなくなります。
水をまいたり、エサにニンニク混ぜたりなどもありますが、私の工夫が二つあります。
一つ目は、めっちゃいい遮光シート
ちょっと高いものなんですが、アルミ素材で、光を跳ね返す遮光100%のシートです。
とにかく光を遮るだけなんですが、小屋内の温度はぐっと下がりました。
二つ目は換気扇
ハウス農業でよく使われる換気扇なんですが、ハウスの空気を循環させておくことで、上に溜まった暖かい空気を出し、温度を下げてくれます。
空気の通り道を作るため、入り口の扉には空気孔をあけています。
ただ、夏の暑い日には、この対策でもどうしようもないことがあります。
そんな時は、先ほど書いた「水をまく」作戦が効果テキメンです。
鶏たちは嫌がりますが(笑)、小屋の中にホースで薄く水をまくことで、打ち水のように温度を下げる効果があります。まぁすぐ乾いちゃうんですけど( ゚Д゚)
次なる対策としては、ハウスの屋根に潅水チューブを通して、水を出し続ければ、ハウスの全体を冷やすことができると考えていたりもします。ご参考までに。
おわりに
今回紹介したやり方、どうでしたか?
私が実家に戻り、ビニールハウス養鶏をやってみよう!と思ったときは、
ネットで探しても特段情報もなく、行き当たりばったりの完全自己流の養鶏をやっています。
獣害が多い地域では、もしかしたらビニールくらいすぐに破って被害を受けるかもしれないので、参考にする際は気をつけてくださいね。
当時通っていた農業高校で、あまり人気の無かった養鶏部を嫌々ながら専攻しましたが、今ではそれも私の一つの仕事となり、
鳥好きの彼女(嫁さん)を実家に誘うために利用し、最近は嫁さんが鶏の世話を担当してくれています。
人生って何が役に立つかわからないものですね~( *´艸`)
嫁さんに鶏を任せ、最近の私はチーズ作りも頑張っています✋
もしよければ販売ページをのぞいてみてください✋
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