丹波チーズ工房のブログ

江戸時代から続く農家の成長日記とチーズのある暮らし

プロのためのチーズの本、おすすめ5冊!

現役チーズ職人の婦木です。

今回は私がこれまで出会ってきたチーズに関する本の中で、

とっても役に立った、5冊の書籍を紹介したいと思います。

 

かなりマニア向けというか、職人向けかもしれませんが、

こんな世界もあるのだと感じていただければ嬉しいです(^^♪

「チーズの絵本」

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農家にはおなじみの農文協が出版している子供向けの絵本シリーズです。

これは私が師匠からいただいた大切なバイブルなんです

 

さらべつチーズ工房に研修に来てすぐのこと、

チーズの製造を見学しながら師匠にいろいろ質問していたのですが、

そのあまりにも初歩的な質問の数々に、師匠に叱られてしまったのです。

 

今思えば当たり前なんですが、チーズのことを自分で調べもせず、全部教えてもらえると甘い考えを持っていたからです。

 

そしてその夜、うつむき加減で夜ご飯を食べる私に、師匠はこの絵本を渡してくれました。寝る間を削ってむさぼり読んだのは言うまでもありません。

 

この絵本は見かけによらず、めちゃくちゃすごいです。チーズ作りの肝である化学変化を、イラストで大変わかりやすく書いてあります。

それもそのはず、著者の河口さんは、海外でのチーズ製造研修や、乳業メーカーでの経験もある超プロフェッショナルなのです。

 

こちらの絵本シリーズは農林漁業、食品加工関係のいろんな絵本が出ていますが、どれも大変すばらしい絵本ばかりなので、ぜひお子さんと一緒に読んでみてくださいね!

チーズの絵本 (つくってあそぼう)

チーズの絵本 (つくってあそぼう)

  • 発売日: 2005/04/01
  • メディア: 大型本
 

 

「チーズ図鑑」

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ハードカバーの初版は1993年に出ているチーズの百科事典のような本です。

 

ヨーロッパ各国をまわり、435種類という膨大なチーズの種類を紹介されていますが、2001年改訂のこちらの新書タイプは321種類だそうです( ゚Д゚)!

ハードカバーの本は、なぜか父が持っていました(笑)

 

フランスでは「一村一チーズ」ともいわれるように、ヨーロッパ地域ごとに様々な表情や特徴を持つチーズがあることがたくさんの写真や文章でわかります。

日本の発酵食品である味噌や漬物のようなバラエティーです。

 

ぼーっと見ているだけでも面白いですし、一職人としてみると、「チーズつくりの常識に取らわれずに、オリジナルチーズ作っちゃえよ!」と背中を押されているようで、勇気ももらえる本です。

 

1000円程度とお安いので、ぜひご一読ください!

チーズ図鑑 (文春新書)

チーズ図鑑 (文春新書)

  • 発売日: 2001/07/19
  • メディア: 新書
 

 

「チーズ・その伝統と背景」

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これは師匠に教えてもらって、自分で買った初めてのチーズ本です。

ヨーロッパの比較的小さなチーズ工房の製造現場を見て、チーズの作り方だけでなく、その根底にある考え方まで丁寧につづっているとても貴重な読み物です。

 

著者の泉さんは、大手メーカーのチーズ担当だったようで、製造現場を見る視点がまさにプロフェッショナルです。

いつくかのチーズでは、製法の歴史的変遷やその地域の特色も詳しく書かれていて、一緒にヨーロッパを旅しているような充足感もあるのです。

チーズ職人の方で、ヨーロッパにもまだ行ってない方は、現地の空気を知るためにも、読んでみることをお勧めします。

 

かなり職人向けの内容ですので、正直勉強しないとついていけないと思います。章ごとにある注釈がめちゃくちゃ長くて、意外と大事なことばかり書いてあるので、私も勉強しながら読みました。今でもよく読み返しますね(^^)/

正規の値段ではなかなか手に入りづらい本ですので、見つけたら読んでみるのも一興かと。 

チーズ・その伝統と背景

チーズ・その伝統と背景

 

 

「チーズの科学」

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このブログのネタに何度も引用させてもらっているのがこちら。

 

チーズやヨーグルトなどの乳酸菌を研究されている東北大学の斎藤教授が、私たち庶民にもわかりやすくチーズについて書いてくれている一冊。

 

チーズの種類や作り方、栄養、機能性、最近の研究で分かってきた健康効果まで、これを読んでチーズを食べると、おいしさがアップするかもしれません( *´艸`)

 

科学シリーズの講談社ブルーバックスはどれも面白い科学の本がそろっていますよね。私も「進化しすぎた脳」とか読んだ記憶があります。

 

「現代チーズ学」

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先ほどの斎藤教授を筆頭に、日本のチーズのプロフェッショナルが集った夢のような本です。総ページ数485ページ( ゚Д゚)!!!

 

これはもう完全にチーズ職人しか買わないであろう本ですね(笑)

私も興味のある所だけしか読めていません、眠くなるので…(-ω-)/

 

 

特に面白いのが、乳酸菌スターターの章。

これまでどんな本を読んでもなかなか載っていなかったので、師匠の言葉を信じて乳酸菌培養をやっていたのですが、こちらの本に培養のことかなり詳しく書いてあったので、とても興味深く読ませてもらいました。

 

培養ってなんだ?と思ってくださった方は過去記事も読んでくださいね✋

 

現代チーズ学

現代チーズ学

 

おわりに

今回はプロ向けのチーズ本を選びました。偏った選書はお許しを(笑)

 

このように、先人たちの研究を勉強したうえで、

実際の製造現場ではどうしたらもっとおいしくなるのか、

どうしたらもっと喜んでもらえる商品となるのか、

これからも考え、もっとお客さんに提案していける職人になりたいものです。

 

 

 

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