丹波チーズ工房のブログ

江戸時代から続く農家の成長日記とチーズのある暮らし

チーズ工房を始めるには

丹波チーズ工房を始めて間もなく5年となります。

 

いまだに製造しているチーズは2種類で、

大した売り上げも上げられず、農場の不採算部門に…

 

という悲しき現状なんですが(´;ω;`)ウゥゥ

 

今回は新たにチーズ工房を始める方向けに、

私の体験談も交えながら、売り方とかではない部分で(笑)

ちょこっと参考になる記事を書いてみようと思います。

 

日本のチーズ工房は増えている

日本のチーズ工房は年々増えていて、

大小合わせて全国に300工房以上あるそうです。

 

2年前の情報ですが*1

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やはり酪農大国北海道が断トツですね!

統計ではわからないですが、

チーズ工房の多くが酪農業も兼ねているのではないかと思っています。

丹波チーズ工房しかり。

毎日、目の前に牛乳があるわけですからね。

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そしてこの表を見て分かるように、

日本人のチーズ消費量は年々増えています。

 

ですから今後もチーズ工房は少しづつ増える可能性があります。

 

私はチーズの師匠に出会って、いろいろ教えていただいたので、

チーズ工房を始める上で、一番大切なのは師匠を見つけることだと思っていますが、

私が実家の農場にチーズ工房を建てるとき、実際にやったことを紹介します。

保健所からの許可をとる

チーズ工房は、飲食店やお菓子屋さんのように、

保健所の許可があれば誰でも営業を始めることができます。

チーズを作る許可は「乳製品製造業許可」といい、小分類でチーズに限定されます。

ヨーグルトも「乳製品製造業許可」ですが、小分類でヨーグルトに限定されます。

つまり、ヨーグルトとチーズは施設を分けないといけません。実際やることはほとんど変わらないんですけどね(;´・ω・)

 

これらの許可は製造施設に出る許可なので、

【牛乳を受け入れて、殺菌して、チーズを作って、包装する】

という工程ができる施設を造ればよいのです。

 

ちなみに既に飲食店をされているところで、

訪れたお客さんに手作りチーズを出すのは「飲食店営業許可」の範囲で可能です。

それを購入してお持ち帰りするとなれば、「乳製品製造業許可」が必要となります。

 

まずはお住いの地域の保健所に行って、

「チーズ工房を始めたいんですが、どうしたらいいか教えてください」

と聞くと、担当の方が詳しく教えてくれるでしょう。

 

私もこれをやりました。

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師匠のチーズ工房を参考に、自分で書いたおおまかな設計図を持っていって、

「これでやろうと思っています、どうでしょうか?」と相談しました。

 

確か、殺菌の方法を聞かれたり、水道の配置や製品のラベル表示について話があったと思います。こんな資料ももらいました。

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設計図ができたら持ってくるようにとも言われ、

後日設計図を持っていき、施工前や完了後にも伺いました。

 

施工完了後、担当の方が工房に来られ、

事前に提出した設計図通り施工されているかを検査確認されます。

合格したら晴れて『乳製品製造業許可』がもらえます。

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特段資格は必要ないのですが、後日、食品衛生責任者の講義も受けました。

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工務店に設計・施工依頼する

工房の設計や施工は、以前からお世話になっている工務店さんに依頼しました。 

チーズ工房を作るのは工務店さんとしても初めてだったようですが、

しっかり相談して、造っていただきました。

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実際工房を使い始めてから

「あー!ココもうちょっと…」とかいろいろ思います、絶対(笑)

 

1つだけ書いてみると、

床には調理場とかでよく見るような緑のコーティングをしていたのですが、

私がケチったせいで、耐熱性があまりない安価なものだったので、

数ヶ月で一部コーティングが取れてきてしまいました。

お湯を使ったり、乳酸発酵により酸性のホエーも流れますし、塩素系洗剤も使いますからね…

一度製造を始めると床の塗装修理は後からやりづらいので、

最初にきっちりお金かけておくべきだったなと反省しています。また近いうちに修理したいです。

 

どういう構造にせよ、もちろん日々のそうじが大事ですけどね(^^)/

 

熟成庫を増設する

最初からゴーダチーズをつくるための設備は整えていたんですが、

肝心の熟成庫はつくっておらず、試作は玄米保冷庫を使って熟成させました。

 

試作ゴーダを食べて、お父さん銀行(笑)が首を縦に振ってくれたので、

いよいよ熟成庫の増設がスタートしました。工房を始めて2年が過ぎた頃でした。

 

以前の記事でも書きましたが、

熟成は温度変化のないところがいいので、

我が家の蔵の一階部分を改造しました。

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師匠とも相談し、保健所とも相談し、工務店さんとも相談を重ねました。

 

乳製品製造業許可も再申請しました。

広さが40%以上(だったかな?)大きくなる場合は、

保健所に許可の再申請が必要になるようです。

 

リフォームみたいな感じなので、案外早く、

3ヶ月ほどで熟成庫と包装室兼資材置き場が完成し、

ゴーダチーズを作り始めることができました。

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資金について

皆さん気になるお金についてですが、

恥ずかしい話、私はお父さん銀行を口説いて、

スネをかじり尽くしたので、借入はありませんでした。

 

製造室だけで車1台分はかかっていて、

その他設備にも最初からこだわって投資しました。

 

中古を探したり、DIYするなど、安くする方法は色々あると思います。

師匠もやっていたんですが、中古の保冷コンテナを改造する方法もあります。

探せば6次化補助金なども受けられると思います。

おわりに

チーズ工房を始めるイメージは少し伝わりましたでしょうか?

今回はあくまで私の場合の話でしたが、

作るチーズの種類によっても、工房の設備等は全然変わってきますので、

様々な工房に話を聴いたりして、よく調べてみてください。

 

実は中央酪農会議さんが、農家による乳製品製造の手引き書をつくっているのです。

興味のある方は、是非とも一読することをお勧めします✋

 https://www.dairy.co.jp/archive/kulbvq000000c9hq.html ←ページに飛びます

 

私は、これまで4年間チーズ工房をやってきて

手段が目的になっちゃってたなー」と反省しています。

とにかくチーズを作りたい!

という思いでチーズを作り始めたので、

作ることが目的化し、その先の売ることやお客さんに伝えることを疎かにしていたのではないかなと…。

もちろんその初期衝動は大切ですけどね。

 

今更ながら、ちゃんと伝えることもやらないと!と考え、

このブログを書いたり、新作チーズを試作したり、少しずつ動き始めています(^^)/

 どうぞ応援よろしくお願いします!!!

 

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最後までお読みいただき感謝します。

応援したいな!と少しでも思っていただいた方は、

是非とも通販サイトをご覧くださいませ!

床の補修もしたいのです!(笑)どうぞ宜しくお願いします✋

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【丹波婦木農場】べこちゃんのミルク