チーズ作りと出会った3つのきっかけ
丹波チーズ工房を始めて間もなく5年となります。
いま改めて振り返って、チーズ作りと出会ったきっかけについて、ちゃんと書いておこうと思います。
大変個人的な話となりますが、お付き合いいただければ嬉しいです(^^)/
ジャージー牛がやってきた
以前の記事でも少しお話しているのですが、
丹波婦木農場は、曾おじいちゃんの代から乳牛(ホルスタイン)を飼ってきました。
畑で牧草を作り、牛の乳を搾り、フンはまた畑の肥料として利用する
という循環型農業を家族で営んできたのです。
しかし今から10年ほど前、
当時酪農担当だったおじいちゃんのケガが引き金になり、
酪農の規模縮小が始まり、一時期はミルクの出荷すらしていなかったような状況でした。
そのころの私は20歳でした。
親の背中を見て農業をしようかなと考え、農業高校を経て、
埼玉県の有機農家さんへ住み込み研修に行っていました。
「すぐに実家に帰るのではなく、今は見聞を広めるべきだ」という親の勧めもあり、
有機農家さんの次に、お父さんの大学の先輩という縁で、
静岡県掛川市の柴田牧場さんへ研修に行きました。
ジャージー牛を飼い、ミルクは毎日自家処理して瓶詰めして販売したり、
ソフトクリームが人気のカフェを営業したりと、それはもう忙しい牧場さんでした。
そしてなんと!牧場での半年間の研修終わりに、ご主人の計らいで、
ジャージー子牛を2頭、婦木農場に分けていただくことになったのです( ゚Д゚)
子牛なので、子供を産むまでの約2年は乳搾りの仕事もありません。
「まぁ牛舎空いてるし、置いとくか~」くらいの軽いノリで婦木農場にやってくることになりました(笑)
将来的に乳搾りが始まったら、これまで通り地元の丹波乳業さんにお世話になるのは簡単なのですが、
せっかく珍しいジャージー牛が来たことで、私はいろいろな可能性を考え始めました。
この前まで、牛乳を自家処理して販売されている現場を実際に見ていたこともあり、
「ただミルクを今まで通り出荷するのではなく、何か自分で加工して販売できたら面白いのでは?」という思いが日に日に増していきました。
お父さんとお母さんの晩酌
柴田牧場さんの研修を終え、半年ほど実家の仕事を手伝っていたころ、
夜になると、お父さんとお母さんがテレビドラマを見ながら晩酌しているのを時々見ていました。
そんなある日の晩酌で、
夫婦でおしゃれにワインを飲んでるではありませんか(^^♪
ワインなんてほとんど飲んだことなかった私も、興味本位でその日は晩酌に加わりました。
すると、ワインのおつまみに6Pチーズを食べているのです。
チーズとワインは相性いいとは聞いていたけど…と、
チーズをかじって、ワインを口に含むとそのおいしさにビックリしました。
「おお!これか!( ゚Д゚)ウマー」
以前なら気にも留めなかったでしょうが、
その時の私は「これだ!( ゚Д゚)」と思いました。
チーズがどうやって作られるかは知らんけど、
ジャージー牛乳でチーズを作れたら面白いかも!と。
すこし大人っぽい食べ物への好奇心と、
お父さんお母さんの晩酌を自家製チーズでより豊かにしたい
という思いで、いよいよ私はチーズ工房について調べ始めました。
師匠との出会い
半年間の実家生活を経て、東京の日本農業経営大学校に入りました。
この学校は、将来の農業経営者を育てるという考えのもと、その年から始まった新設の学校でした。
その中で、夏の4か月間は「農家さんでの研修をする」というカリキュラムがありました。
どうせならチーズ工房さんに行けたらいいなーと思い、
ネットで調べてアポを取って、GWにいくつかの工房さんを回り、
そこで出会ったのがさらべつチーズ工房さんでした。
ネットにもあまり情報はなく、チーズが美味しいという書き込みがあった程度で、ほとんどわたしの勘だけで訪れました(笑)
20歳で、ヒッチハイクでやってきた生意気な私を、さらべつチーズ工房の野矢さんご夫婦は温かく迎えてくれました。
そこでいただいたチーズが美味しいこと美味しいこと( *´艸`)
今まで食べていたチーズとは比べ物にならないくらいの
濃厚な旨味と、芳醇な香りと、くちどけなんです( ゚Д゚)
す、すごいところに来てしまったのでは!!と直感しました。
そして熟成庫のチーズたちに、ただただ圧倒されました( ゚Д゚)スゲー
これがチーズ工房ってやつか!かっこいい!かっこよすぎる!
とテンションの上がった私は、そのまま夏の研修をさせていいただけないかとお願いし、了承を得たのでした✋
いま思い返すと、我ながらなんて厚かましいやつなんでしょう(笑)
そして6月から、勝手に延長して11月半ばまで、
野矢さんの本業である「大根」も手伝いながら、チーズ作りを学ばせていただきました。
野矢さん、いや、師匠には、
チーズ作りはもちろんですが、生き方を学ばせてもらったと思っています。
毎晩のようにワインを飲みながら、いろんな話をしました。
場所や規模は違えども、同じ農家としての感覚や考え方に強く共感し、
「婦木、うまいもんつくれ」と口を酸っぱくされていました。
そして、11月に東京の学校に戻るころには、
いつになるかはわからないけど、必ず将来、チーズ工房をやってやる!
師匠がびっくりするようなおいしいチーズを、我が家のジャージー牛で作るぞ!
と決意していました。
おわりに
チーズと出会い、チーズ作りをしたいと本気で考えるようになったきっかけの話、いかがだったでしょうか?
ジャージー牛、両親の晩酌、師匠との出会い、どれかひとつでも欠けたら、今にはつながっていなかっただろうなと思います。
あの時の私からすれば、チーズ工房を始めるには、もっともっと時間がかかると思っていたので、
現時点で丸4年もチーズ工房をやっていること自体が奇跡のようにも感じます(笑)
今まで自分が経験してきたことすべてを生かして、こうして毎日仕事ができているのは、ほんとにありがたいことです。
まだまだ師匠には追い付けていませんが、
これからもっともっとおいしいチーズを作って、
師匠やお父さん、お母さん、そして嫁さんや、
たくさんの応援してくださる方々が、
ほんのひと時でも、素敵な時間を過ごせるお手伝いが出来たらいいなと思います。
今後とも、よろしくお願いいたします。
もしよければ販売ページのぞいてみてくださいね~✋