マルチの効果と張り方
マルチって聞いたことありますか?
マルチタスクとかそんなアーバンな感じではなく、
マルチ商法とか怪しいやつではもちろんなく、もっと泥臭いほうです(笑)
現代日本農業、特に野菜生産には欠かせない資材なのです。
今回はマルチの効果と張り方について書いてみます。
マルチとは
農業用ポリエチレンフィルムのことです。
正式にはマルチングフィルムとかマルチシートとか呼ばれるみたいです。
うちではもっぱら「マルチ」って呼んでいます。
そもそも植物の株元や地表面をシートやワラなどで覆うことをマルチングといい、今ではポリフィルムが一般的なので、たいていこのフィルムのことをマルチって呼んでいます。
農協やホームセンターでも売っていて、
白やシルバー、透明など効果がそれぞれ違ったマルチが販売されていますが、
今回は主に、一番オーソドックスな黒色マルチの話をします。
大きな効果としては「雑草を防ぐ」ということなんですが、
実はそれ以外にもいろんな効果があるのです(^^♪
マルチの5つの効果
①雑草を防ぐ
これは見るからにわかりやすい効果ですね。
植物は光合成をすることで大きくなります。
光合成とは、水と二酸化炭素を材料に、☀太陽光パワーによってデンプン(糖)と酸素を作り出す働きのことです。
作物にしっかりと光を当てるために、周りをマルチし、太陽光を遮ることで、雑草の光合成を抑え、生えてこなくなるのです。
②地温を上げる
人間にも過ごしやすい気温があるように、作物にもそれぞれの生育適温があります。
マルチをかけることで、畑に太陽熱を取り込み、作物に適した地温に上げることができます。
この春時期に植え付ける夏野菜らは、25℃以上が必要と言われているので、
ちょっと肌寒い春でも、マルチを張ることで地温を上げ、作物は元気に根を伸ばすことができるのです。
さらに、地温が上がることで、畑の微生物たちが活発に働き、肥料や有機物を分解し、作物に栄養を与えることにも繋がります。
逆に、白色マルチを使うと、熱を反射し、地温が上がりにくくすることもできます。
夏季の高原葉物産地ではこのような光景が広がります。
③乾燥を防ぐ
いい畑の土は団粒構造になっています。
写真をご覧いただくとよくわかると思いますが、粒子がバラバラなのが単粒構造。
粒子がいくつか集まった集合体が団粒構造なのです。
団粒構造には、作物が根を伸ばすために必要な水分と空気が適度に含まれており、
マルチをかけることで、日照りによる水分蒸発や、大雨による土の硬化を防ぎ、作物に適した土の状態(団粒構造)を保つことができるのです。
④病気を防ぐ
植物は葉の裏面に「気孔」という空気穴を持っています。
雨が土に当たり、跳ね返りで葉の裏面に土が付くと、呼吸ができなくなったり、土に住む病原菌にやられてしまうことがあるのです。
マルチにより、土の跳ね返りを防ぐことで、作物の病気を予防する効果もあるのです。
⑤肥効を保つ
畑に与えた肥料は、主に団粒構造の土によって保持されています。
しかし、雨が続くと、土が肥料を抱えきれなくなり、畑から流されてしまうことがあります。
そこで、マルチを張り、雨による影響を受けにくくすることで、畑の肥料を保ち、無駄なく作物に栄養を与えることができるのです。
他にもこんなマルチが
透明マルチ
透明マルチは、太陽熱が最も入り、超高温になります。
その熱を利用し、作物を植える前に、畑表面の雑草の種を太陽熱で死滅させ、
作物の生育中に雑草を生えにくくするのによく使われます。
生分解性マルチ・紙マルチ
これは我が家の田んぼで使っている紙マルチです。
段ボール古紙で作られる紙マルチは、稲の発育初期の雑草を抑えることができます。
最初の2ヶ月抑えることができれば、あとは稲のほうが大きくなるので、雑草に負けることはないという、除草剤を使わない栽培の方法です。
2~3ヶ月で紙マルチは溶けてしまいます。
生分解性マルチは、植物樹脂やでんぷんから作られたマルチで、数ヶ月経つと畑の微生物によって分解されていきます。
マルチを剥がす手間も省力化できるのですが、どちらもちょっとお値段が高いです。
敷きわらマルチ
今でもスイカやカボチャなどには、敷きわらマルチをすることが多いです。
これは、収穫物が土に当たって傷が付いたり、高温になったマルチの上に転がって腐ったりすることを防ぎます。
トマト栽培などで、マルチが高温になりすぎないように敷くこともあります。
マルチの張り方
今やトラクターでもマルチを張れるようになっています。
婦木農場でも、今年から本格的に使い始めましたが、まだぎこちないです(笑)
しかし、機械では毎回新品のマルチを買って使わないといけないので、マルチを再利用するならどうしても手作業になります。
中山間地の高畝なので、参考になるかはわかりませんが、婦木農場のマルチの張り方をご紹介します。
①トラクターによってたてられた畝の両肩をクワで15㎝くらい削る
イメージ的にはこんな感じです(高畝に書きすぎた(笑))
② マルチを広げ、手で仮止めの土を置く
③削った土を元に戻す感じで、クワで土をのせ、マルチを抑える
畝の真ん中にも土をかけておくと風で飛ばされにくいです。
以上です。ちょっと手間ですが、ぜひやってみてください!
おわりに
今回はマルチについての話でした。
様々な効果があることを知っていただけたら嬉しいです( *´艸`)
今度畑を見るときは、ぜひマルチの種類や張り方に注目してみてください✋
私が18歳の頃研修していた有機農家さんでは、草マルチをしたことがあります。
これは、田んぼなどで刈り集めた雑草を、作物の周りに敷きわらみたいにマルチする方法です。
ポリフィルムの無い時代は、わらや雑草しかなかったので、みんなよくやっていたんでしょう。
すぐに乾燥してしまい、光を通してしまうので、抑草効果は少なかったですが、分解されると、そのまま畑の肥やしになるので、これはこれで理にかなっているなと感心したことを思い出しました。
ここ数年は牛や鶏、チーズばかりに関わってきたので、まだまだ畑については勉強不足ですが、このブログを書きながら私も学んでいきたいです!
私が働く丹波チーズ工房では、
畑の牧草作りから、お乳を搾り、ナチュラルチーズを作っています。
ぜひ応援よろしくお願いします(^^)/
野菜畑でも使う杭も手作りしています、ご覧ください⇩