チーズの造り方②
こんにちは!
シリーズでお届けしているチーズの造り方の続きです。
①はこちらhttp://fukikeisuke.hatenablog.com/entry/2019/11/01/134543
②は、乳酸菌を添加して発酵させるという工程について、長文です笑
生乳を殺菌して、30度まで冷却したところで、乳酸菌を適量添加します。
そこから温度を30度に保ちつつ、時折混ぜながら、約1時間をかけて乳酸発酵を促します。
その後③のレンネット添加となります。
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私はこの乳酸発酵をする「乳酸菌」がチーズ造りの肝だと考えています。
野菜作りで言うところの「土づくり」みたいな感じですね。
チーズ工房をはじめてから約4年間、チーズを造ることより、この乳酸菌を作り続けていただけ、とも言えるほど大切にしている工程です。
チーズ用の乳酸菌(スターター)はフリーズドライ(冷凍)のものが市販されていて、クリスチャンハンセン社というデンマークの会社のスターターが有名です。
一袋で500リットル分なので、小ロットなら小分けしながら使うのが普通です。
丹波チーズ工房では、このスターターを自家培養しています。市販スターターにも、自家培養専用スターターが数少なく販売されていて、初めはそれを利用して、自家製ヨーグルトの種つぎの要領で、培養し続けて使用しています。
培養をすると、途中でチーズに良くない菌が入り込むリスクがあったり、とにかく時間と手間がかかるので、ほとんどのチーズ工房さんでは培養はしていないようです。
話を聞くところでは、本場ヨーロッパでもこのやり方は少なくなっているとのこと。
100年前までは、スターターの自家培養は当たり前の技術だったそうですが、今では冷凍庫から取り出してポイッと入れるだけ、という超便利仕様になっています。
それでもなぜ自家培養にこだわるのか、
それは「元気な乳酸菌」を使いたいから、そしてそれが「安定した美味しさ」につながると信じているからです。
培養を続けていると、乳酸菌の発酵する力は少しずつ上がっていき、その活力の最大値を維持しながら、培養を続けることで、元気な乳酸菌をずっと利用することができます。
ゴーダなどの長期熟成タイプは、製造から1年もの間、乳酸菌たちが働いて美味しさを作ってくれるので、より元気な乳酸菌を利用したいと考えています。
また、サンマルセランは乳酸発酵が主として働いて固める酸凝固タイプなので、乳酸菌の質が味に大きく関わってきています。
ただ、実際どこまで自家製乳酸菌が美味しさをつくってくれているのかは、正直、数字ではわかりません。でも私は、師匠のチーズを見て食べて、「旨い」と思ったので、私の舌を信じて、このやり方が大事だと信じて、日々取り組んでいます。
あと、ずっと培養していると、乳酸菌が自分の子供のように可愛くなってくるので、苦労している分、愛着が湧いてくるのかもしれません笑
ちょっとわかりにくい話だったかもですが、乳酸菌にはちょっとこだわりがあるんや〜ってことが伝われば嬉しく思います🧀