チーズの造り方④
こんにちは!
我が家では年末恒例の餅つきが始まっています。
今年もたくさん注文をいただいて、ありがとうございます😊
まだ今なら間に合いますので、ご入用の場合はお早めにご注文お願いします!
今年から私の嫁さんも丸めてくれています笑
さて、シリーズで書いている造り方④は、
「カードナイフでサイコロ状に切る」という工程です。
レンネットを入れた牛乳は30分ほどでお豆腐のように固まります。
固さを確認したら、1センチ幅程度のピアノ線を張った特殊な器具でカード(専門用語で固めた牛乳のこと)を切断していきます。(写真参照)
線を縦に張ったナイフと、線を横に張ったナイフを使って、カードをサイコロ状になるよう切るのです。
この切り方がとても大事です。
豆腐状なので、一部にナイフを入れると、カードが動いて、サイコロ状にきれいに切るのが難しいのです。大きくなってしまうと、ホエー抜けが悪くなるし、小さいと組織が硬くなってしまうし、歩留まりも悪くなります。
また、時間がかかると、乳酸発酵がどんどん進むので、手早くしないといけないのです。
わたしも造り始めた当初と比べると、ずいぶん切り方が変わりました。
また、切る幅もかなり重要で、実は切る幅もこの夏から変えました。
次の工程にもつながってくるのですが、ホエーの抜けるスピードと、乳酸発酵の進み方のバランスがとても大事で、この勘所を見つけるのには時間がかかりました。
おそらく一年後のゴーダの食感や風味は、今よりさらに良くなるだろうと考えています。
今回はちょっとわかりにくい説明だったかもしれませんが、コメント等でお気軽に質問してくださいませ!
次は⑤攪拌してホエーを抜く
という工程に移ります。
チーズの造り方③
こんにちは!
間が空いてしまいましたが、
シリーズで書いているチーズの造り方③です。
写真は先日参加した神戸元町の国産チーズイベントの様子です。来ていただいた皆様ありがとうございました😊
元町マダムから「香りがいいわ!」とか
おじさまから「オーストリアで食べたチーズを思い出した!」と言っていただいたり、
フランス出身のお兄さんから「昔食べてたサンマルセランと同じだよ!」と喜んでもらえたり、嬉しい声をいただき、自信にもなりました。
これからもますます美味しいチーズ造りに励みたいと思います!
③はレンネットを添加して牛乳を固める
という工程について。
レンネットとは牛乳を豆腐のように固める働きのあるキモシンという酵素(凝乳酵素)のことで、主に子牛の第四胃にあります。
レンネットにより、タンパク質や脂肪を固め、液体であるホエーを抜きやすくします。
どうして牛乳が固まるのか。
なるべくわかりやすく説明してみます!
そもそも牛乳は9割が液体で、残り1割がタンパク質や脂肪などの成分です。普段は液体中にフワフワと浮いた状態で存在しています。
②の乳酸発酵により、フワフワと浮いていたタンパク質(主にカゼイン)の形が変化し始めます。イメージとしてはタンパク質からピョコっと「手」が出てくる感じです。
そして、その乳にレンネットを入れると、バラバラにあったタンパク質同士が手を繋ぎ始め、約30分をかけて豆腐のように固まるのです。
それはまるで魔法のようです。初めて見たときは私も声を出して驚きました笑
もともとは、子牛が母乳を消化するために胃に凝乳酵素を持っています。胃の中で母乳を固めることで、腸で時間をかけてゆっくりしっかり消化できるようになっているそうです。
簡単に言うと、子牛は胃でチーズを作っているんですね。
レンネットには、子牛から取り出したレンネットの他に微生物や植物のレンネットもあり、今では日本や韓国、オランダ以外は微生物レンネットが主流だそうです。
私は、伝統的で、味が良いと言われる子牛のレンネットを使っています。
ちょっと残酷でもあるんですけど、
改めて感謝しないといけませんね。
牛乳を固めた次は、カッティングに続きます!
そういえば!
先月末より、近所のスーパー『ココモ春日店』さんにてチーズ🧀の取り扱いが始まっています!
農場価格と同じですので、是非手にとっていただき、一度召し上がってみてください!
宜しくお願いします🙌
チーズの造り方②
こんにちは!
シリーズでお届けしているチーズの造り方の続きです。
①はこちらhttp://fukikeisuke.hatenablog.com/entry/2019/11/01/134543
②は、乳酸菌を添加して発酵させるという工程について、長文です笑
生乳を殺菌して、30度まで冷却したところで、乳酸菌を適量添加します。
そこから温度を30度に保ちつつ、時折混ぜながら、約1時間をかけて乳酸発酵を促します。
その後③のレンネット添加となります。
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私はこの乳酸発酵をする「乳酸菌」がチーズ造りの肝だと考えています。
野菜作りで言うところの「土づくり」みたいな感じですね。
チーズ工房をはじめてから約4年間、チーズを造ることより、この乳酸菌を作り続けていただけ、とも言えるほど大切にしている工程です。
チーズ用の乳酸菌(スターター)はフリーズドライ(冷凍)のものが市販されていて、クリスチャンハンセン社というデンマークの会社のスターターが有名です。
一袋で500リットル分なので、小ロットなら小分けしながら使うのが普通です。
丹波チーズ工房では、このスターターを自家培養しています。市販スターターにも、自家培養専用スターターが数少なく販売されていて、初めはそれを利用して、自家製ヨーグルトの種つぎの要領で、培養し続けて使用しています。
培養をすると、途中でチーズに良くない菌が入り込むリスクがあったり、とにかく時間と手間がかかるので、ほとんどのチーズ工房さんでは培養はしていないようです。
話を聞くところでは、本場ヨーロッパでもこのやり方は少なくなっているとのこと。
100年前までは、スターターの自家培養は当たり前の技術だったそうですが、今では冷凍庫から取り出してポイッと入れるだけ、という超便利仕様になっています。
それでもなぜ自家培養にこだわるのか、
それは「元気な乳酸菌」を使いたいから、そしてそれが「安定した美味しさ」につながると信じているからです。
培養を続けていると、乳酸菌の発酵する力は少しずつ上がっていき、その活力の最大値を維持しながら、培養を続けることで、元気な乳酸菌をずっと利用することができます。
ゴーダなどの長期熟成タイプは、製造から1年もの間、乳酸菌たちが働いて美味しさを作ってくれるので、より元気な乳酸菌を利用したいと考えています。
また、サンマルセランは乳酸発酵が主として働いて固める酸凝固タイプなので、乳酸菌の質が味に大きく関わってきています。
ただ、実際どこまで自家製乳酸菌が美味しさをつくってくれているのかは、正直、数字ではわかりません。でも私は、師匠のチーズを見て食べて、「旨い」と思ったので、私の舌を信じて、このやり方が大事だと信じて、日々取り組んでいます。
あと、ずっと培養していると、乳酸菌が自分の子供のように可愛くなってくるので、苦労している分、愛着が湧いてくるのかもしれません笑
ちょっとわかりにくい話だったかもですが、乳酸菌にはちょっとこだわりがあるんや〜ってことが伝われば嬉しく思います🧀
もうすぐボジョレー🍷
こんにちは!
先日は道の駅でチーズ販売しまして、たくさんのお客様に見ていただけてよかったです。
バタバタしすぎて写真撮り忘れてました笑
今後も月イチくらいは宣伝も兼ねて、道の駅で試食販売しようかなと思いますので、また情報チェックお願いします🙌
(毎月第一土曜日に出るようにしようかな…)
まるカフェ☕️もありがとうございました!
婦木農場にて毎日チーズ販売していますので、お時間許せばおいでくださいませ!
ゴーダチーズのネットショップもスタートしてますので、宜しくお願いします↓
https://fukifarm.com/shop-gouda.html
さて、ボジョレーヌーボーが近づいているので、チーズとワインとの相性のお話を少し。
ボジョレーヌーボーとは、フランスのボジョレー地方で収穫したブドウで醸した、熟成期間の短い赤ワインの新酒のことです。今年の解禁日は11月21日(木)となっています。
日本酒でも、新酒とか搾りたてとかありますよね、そんなイメージです。
ボジョレーワインは甘口の優しい味わいが多いので、初心者でも飲み易くてオススメですよ。
私も二十歳の時、ボジョレーをきっかけにワインを飲むようになりました。
我が家のチーズでは、サンマルセランの方がボジョレーワインによく合うかもしれませんね。ちょっとジャム付けても美味しそう!
濃厚なゴーダも、切り方によって味わいが変わります。
薄くスライスすると、口どけよく、優しい香りがボジョレーワインによく合うと思いますよ!
逆に分厚く切ると、濃厚な旨味と香りが口いっぱいに広がりますので、しっかりめの赤ワインや辛口の白ワインが美味しいのではないでしょうか。
以前、あるSF映画を見ると、VR世界の中で何でもできる、夢のような話がありました。
ただ、VRでどうしてもできないのは「食べることだ」というオチがついていました。
映画を見た後、この仕事でよかったなーと思った覚えがあります。
生活の楽しみの一つとして、是非「美味しいものを食べる」ということを積極的にしたいものですね。
さあ、今日もよりよいものをつくります!
応援宜しくお願いします🧀
チーズの造り方①
こんにちは!
今回はチーズの造り方①ということで、
牛乳の低温殺菌についてです。
婦木農場ではジャージー牛を数頭飼い、朝晩搾ったミルクを使っています。
写真の機材はチーズバットというものです。
外側が二重構造になっていて、お湯を入れて中のミルクを殺菌したり、水を入れてミルクを冷やしたりできます。
殺菌専用の機材を使う工房さんもありますが、ウチではこの一台で殺菌から発酵、型詰まで行います。大きさは1番小さい100リットル用を使ってまして、300や1000など大きさは色々あります。
理屈としては湯煎と同じなので、台所で2つ鍋を用意して、湯煎でもチーズを作れます。
低温殺菌とは63度で30分保つことで、ミルクの中の悪い菌たちを退治できます。
普段私たちが飲むようなミルクは高温殺菌といい、120度2秒で殺菌しますが、これはミルクの中のタンパク質が熱変化し、チーズとしてきっちり固まらなくなるので使えません。
ご自宅でチーズを作る場合は、低温殺菌牛乳を用意してくださいね。
日本では無殺菌ミルクはほとんど認められていませんが、ヨーロッパの伝統的な造り方では、無殺菌ミルクを使うチーズもあります。殺菌をしないことで、牛乳やその土地に住む乳酸菌や酵母を生かした味わいが生まれるようです。
この作業ポイントは殺菌後の冷却です。もたもたしてる間に変な菌が入らないよう、なるべく早く30度まで下げて、次の工程の乳酸菌添加に続きます。
疑問とか質問とかあれば、
お気軽にコメント書いてくださいねー🙌
チーズの造り方プロローグ編
こんにちは!
メジャー挑戦を表明した筒香さんが、
私と同い年だということに驚きを隠せない今日この頃です。
今回はチーズの製造工程をプロローグ的にご紹介します。
一言でいうと、牛乳からホエーを抜いたものがチーズです。
だいたい10分の1くらいになります。
100リットルの牛乳から10キロくらいのチーズができます。つまり90リットルはホエーです。
ホエーとは乳清とも呼ばれ、ヨーグルトの上澄みの甘みのある液体のことです。ウチはまだ再利用できてませんが、北海道ではホエーを集めて豚に与えて「ホエー豚」を育てていたりもします。
牛乳には脂肪とかタンパク質とかの成分が10%くらいあり、それを固めたものがチーズとなります。
では、チーズの基本と言われるゴーダチーズのつくり方です。
①牛乳を低温殺菌する
②乳酸菌を添加して発酵させる
④カードナイフでサイコロ状に切る
⑤攪拌してホエーを抜く
⑥型詰めして重石をのせて成形する
⑦食塩水にいれて味付け
⑧熟成庫で出荷まで管理する
ざっと書きましたが、よくわからない言葉もあると思います。不思議な写真もありますよね。
今後1つずつ解説していきます。
ちなみにサンマルセランのつくり方も紹介しておきます。
①牛乳を低温殺菌する
②乳酸菌と酵母を添加して発酵させる
③少なめにレンネットを添加して牛乳をかためる
④固まった牛乳をお玉ですくって型詰め
⑤型の中で反転しながら塩を振って味付け
途中まではゴーダとほとんど同じですね。
また続きをお楽しみに!
11/2(土)は道の駅おばあちゃんの里に来てね!
チーズ販売しますよ🧀
婦木農場では毎日販売してますので、お時間あるときに来てくださーい!
人生が変わったチーズ
こんにちは!
最近、キムタクのドラマ「グランメゾン東京」を観ていて、あーほんとにそうだなーと思ったことがあったので、勢いで書いてみます。
ちなみに今シーズンは
「同期のサクラ」も観てますヨ!
ドラマはキムタク演じるシェフ(尾花)が、仲間と共に、東京でフレンチレストランを開き、ミシュラン三つ星を目指すという話です。
第二話は、開業の融資のために銀行員さんにとびきりの料理を作って感動させる、というあらすじだったのですが、その中で尾花のパートナーを務めるシェフが行員さんに
「尾花さんは、人生を変える料理を作る人なんです!(うろ覚えなので意訳)」と言うセリフがありました。
ここでふと、自分は人生が変わるほど感動するようなもの食べたことあるかなー?と考えたところ、ひとつだけありました。
そう、師匠のナチュラルチーズです。
今から6年ほど前、21歳の私は、
「我が家のジャージー牛のミルクを生かして
美味しいチーズを作れたらいいなー」
と考え、北海道のチーズ工房さんをいくつか訪ねていました。
そのひとつ、最後にお伺いしたのがさらべつチーズ工房さんでした。
玄関で挨拶し、早速チーズをいくつか試食させていただきました。
なにこの旨味!
なんなのこの香りの深み!
口の中でクリーミーにとろけるし!
食べた後も幸せが続いてる〜〜〜!
すげぇ!!チーズめちゃ美味しい!!
などと、大感動してしまったのです。
その後すぐに研修させて欲しい旨をお話しし、そのおかげで、今につながってくるのです。
正直、師匠のチーズでなければ、チーズ工房をやるまでに至ってなかったかもしれません。
つまり私は、
師匠のチーズに人生を変えられたのです。
だからこそ、私が作るチーズには、
誰かに大感動してもらえるような味、
もっと大げさ言えば、
誰かの人生を変えるような味を追求していきたいなと思います。
私がそうであったように、
この感動を、私も伝えられたらいいなと。
実はこの夏、仕事の合間を縫って、十勝にある師匠の工房見学に行かせていただきました。
久しぶりに食べた師匠のチーズは、かつての感動を超えるほど、更に美味しくなっていて、ほんとに驚きました。師匠も未だに進化し続けていたんです。
私のチーズ作りの改善点も発見できたので、丹波チーズ工房は、これからますます美味しくなると思います。
いや、必ず美味しくします!
ということで、これからも皆さん一人ひとりの末長い応援を宜しくお願いします🙌
今週末の11/2(土)10時頃〜16時まで
道の駅おばあちゃんの里にチーズ販売行く予定です。試食も用意しますので、是非味見に来てくださいね!
翌日11/3(日)はまるカフェもありますヨ〜
ナチュラルチーズとプロセスチーズ
こんにちは!
日に日に寒さを感じるようになりましたね。
さて、ゴーダの販売を始めて、
お客様と話してますと、案外よく聞かれるのが「ナチュラルチーズとプロセスチーズって何が違うの?」という質問。
池上彰さんなら「いい質問ですね☝️」なんて言うのでしょう。
例えとして、日本酒で考えてみると、
お米と水だけを原料に発酵させた「純米酒」はナチュラルチーズ。
それに醸造アルコールを添加した「本醸造酒」はプロセスチーズと言えるでしょう。
ちなみにプロセスとは「過程」という意味ですが、「加工」と受け取っていいでしょう。
本来、コメと水だけで作れる純米酒に、
よりよい香りや味を作るため、
より安定した品質をたくさん作るため、
より安価に提供するため、
など理由は様々でしょうが、
食用のエタノール(醸造アルコール)
を添加して、本醸造酒を作っています。
チーズもよく似ていて、
牛乳と塩だけで作るナチュラルチーズを、
よりよい香りや味を作るため、
より安定した品質をたくさん作るため、
より安価に提供するため、
など理由は様々でしょうが、
乳化剤を添加してチーズを混ぜ合わせ、
食べやすい形にしたのがプロセスチーズです。
もうひとつ言うと、
生酒か火入れかという違いもあり、
菌が生きていて、熟成していくチーズか
加熱殺菌して品質が変わらないチーズか
という点もありますが、
細かく説明するとややこしくなりますね笑
日本では昭和初期から、雪印さんが本格的にチーズを作り始めたようですが、主にプロセスチーズだったようです。
当時は冷蔵庫も満足にない環境だったので、チーズの保存性を高めるために、加熱殺菌の加工が必要だったのも理由の1つと考えられます。
そんなことから、日本では、6Pチーズやピザチーズ、スライスチーズ、最近ではデザートチーズなるものまで登場し、バラエティ豊かなプロセスチーズ文化が広がって来ていますね。
そしてこれから、ナチュラルチーズ文化が、
ますます盛り上がっていくと思うのですが、
それはまた今度の記事で書きまーす🙌
蔵熟成ゴーダ🧀
こんにちは!
久々すぎる投稿すいません!
この機会にまた書いていきますので笑
宜しくお願いします🙌
さて、この秋より第二弾となる新商品
『蔵熟成ゴーダ』を販売スタートしました。
婦木農場のジャージー生乳100%使用し、
蔵にある熟成庫でじっくり1年間かけて熟成。
旨味と香りだけでなく、食べた後の余韻も楽しめるナチュラルチーズになりました。
ネット販売もスタートしましたので、
ページをご覧くださると嬉しいです。
https://fukifarm.com/shop-gouda.html
またこれから、ゴーダの食べ方やどのように作っているのかなど、記事を書いていこうと思います。
第一弾のサンマルセランも、当初よりグッと美味しく、乳酸菌の力を生かした味わいになっています。この機会にぜひ。